傷口に消毒やガーゼはダメ!ケガをした時の正しい対処法を画像付きで解説
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夜にランニングを頑張っていたら転んでしまい、膝を擦りむいてしまったカズッチです!
あなたは傷ができたときには、どのような処置をしてますか?
実は消毒したりガーゼを貼ったりすると傷の治りは遅くなります。
私は数日前に考え事をしながら走っていたら段差に気づかず思いっきり転倒してしまい膝を強打して擦り傷ができてしまいました。
そんな時におすすめなのは湿潤療法という治療法です。
今回は私の勤めている病院でおこなっている傷の処置の方法で、自宅でも簡単にできる湿潤療法の方法を紹介します。
傷口を消毒したり乾燥させたりするのは逆効果、傷の治りが遅くなります!
傷を消毒するとどうなる?
一昔前まで常識だった傷口を消毒してガーゼを貼るという傷の治療方法はドライヒーリングと呼ばれ、今では傷の治りが遅くなる間違った治療法とされています。
なぜ間違った方法なのかと言うと、傷口を消毒すると傷口にいる悪い細菌だけではなく皮膚環境を保っている常在菌も殺菌してしまします。
さらに消毒液は正常な皮膚細胞も破壊してしまい、傷口が荒れてしまうのです。
しかも、消毒した細菌は1時間もすれば元に戻ってしまい結局細菌よりも傷口の方が大きなダメージを負ってしまいます。
結果として消毒することで傷口が荒れ、傷が治るのが遅くなってしまうのです。
ガーゼを貼るとどうなる?
以前は傷から出てくる浸出液は悪いものでガーゼで吸収することで傷が早く治ると考えられていました。
しかし、実は傷から出てくる浸出液の中に傷を治す成分が多く含まれていることがわかったのです。
ガーゼを貼るということは傷を治す成分を含んだ浸出液を吸い取ってしまうということで、結果として傷が治るのを遅くしてしまうのです。
浸出液を吸い取ったガーゼは硬くなり傷口に張り付いてしまいます。
そのガーゼをはがすときに固まった浸出液と共に新しくできた皮膚も剥がれてしまうことで痛みがあり、再度の出血をしてしまう事もあるのです。
傷口は空気に触れると痛みが出るので、ガーゼをはがすたびに痛みを伴い、傷口を傷つけてしまい治るのが遅くなってしまいます。
そのため、市販されている通常の絆創膏を使うのも避けてください。
正しい傷の治療法、湿潤療法とは?
傷口を消毒してガーゼで乾燥させるドライヒーリングに対して、浸出液を傷口に留めて浸出液で湿っている状態を維持する治療法をモイストヒーリング(湿潤療法)と言います。
湿潤療法では傷口は消毒せずに水道水や生理食塩水、場合によっては石鹸などで傷口を洗うことで、傷にいる細菌や汚れ、老廃物などを洗い流します。
ドライヒーリングでは化膿防止のために消毒をしていましたが、水洗いだけで基本的に感染はコントロールすることができることが分かってきました。
傷口を清潔にするのに消毒は必要なかったんです。
傷を洗った後は傷口の水分をふき取り、血が止まっている事が確認出来たら傷口を湿った状態で保持できよう被覆材で覆います。
最後に被覆材全体を覆うようにテープやシートで固定し傷を覆います。
被覆材とテープにより傷を治す成分を含んだ浸出液を傷口に留めておくことができ、適度な湿潤状態を維持することで皮膚の再生が促され、傷が早くきれいに治るのです。
湿潤療法では傷口が潤っている状態なので、空気に触れることがなく痛みがほとんどなく、浸出液の効果をを最大限に生かすことができます。
湿潤療法用の被覆材
ドラッグストアで購入できる被覆材
市販されている被覆材はハイドロコロイド素材の物が多いです。
ハイドロコロイド素材は浸出液を吸収してゲル化することで傷口をふさぎ、浸出液を保ち傷の治癒を促します。
BAND-AIDキズパワーパッド
ジョンソン・エンド・ジョンソンから出ているバンドエイドシリーズの商品です。
種類がとても豊富で様々なサイズがあります。
ケアリーヴ
ニチバンの商品になり、標準の「治す力」と「治す力防水タイプ」の2種類があります。
治す力防水タイプは薄さ0.03㎜の透明の防水フィルムを使用していて目立ちにくい構造です。
ハイドロコロイドパッド
3Mジャパングループの商品で全4サイズ5製品があります。
素肌のような付け心地を追求し、独自の防水カバーフィルムではがれにくく関節にもフィットする商品です。
クイックパッド
阿曽製薬株式会社の製品でサイズや形状のラインナップがあります。
周囲が薄くめくれにくい構造になっています。
通信販売で購入できる被覆材(プラスモイスト)
瑞光メディカルの製品であるプラスモイストは医療機関でも使用している被覆材で、通信販売で購入することができます。
プラスモイストはドラッグストアで売られている被覆材とは異なり、粘着剤などが付いていないシートなので、固定するためのテープが必要となります。
紙バンや不繊布テープで固定すると浸出液が漏れ出てくる事があるので、あまりおすすめできません。
被覆材(ドレッシング材)を固定するためのテープはドレッシングテープと呼ばれる薄いフィルムのテープをおすすめします。
プラスモイストは傷の大きさに合わせて自由にカットして使うことができるので、市販の被覆材に比べて使いやすくコストパフォーマンスも良いです。
プラスモイストは独立セル構造によって浸出液をコントロールする機能があり、過剰な浸出液を排出することができます。
そのため一度吸収した浸出液が逆戻りしにくいので、傷口は新しい浸出液に覆われるようになり、傷の治りを早めます。
食品用ラップを被覆材として使用
ケガをしてしまったときに食品用ラップを被覆材として使用することが可能です。
傷にラップを直接当てて、その上から浸出液を吸収するためにガーゼを貼って固定をします。
傷口にワセリンを塗ると傷が空気に触れなくなり痛みを軽減することができます。
ラップは傷に張り付かないので湿潤状態を維持でき、傷の治りが早くなるのです。
また、ラップは火傷にも有効でワセリンを塗ってラップをすることで火傷の痛みをかなり軽減し早くきれいに治すことができます。
しかし、ラップは浸出液を全く吸収しないので浸出液の多い火傷では浸出液が外に漏れてくることがあるので注意しましょう。
また、傷や火傷がひどい場合は合併症の可能性も出てくるので、あくまで軽度の傷もしくは応急処置として使い、特に火傷がひどいときは必ず医療機関を受診してください。
湿潤療法を行う手順
①傷口を水道水で洗い流します。(仮の傷として赤バツを付けました)
汚れが多いときなどは必要に応じて石鹸を使い汚れをきれいに落としてください。
②ペーパータオルなどで皮膚の水分をふき取ります。
タオルは雑菌が繁殖している可能性があるので、使い捨てのペーパータオルやティッシュペーパーなどを使用してください。
③傷口から出血がある場合は傷口をおさえて圧迫止血をして出血を止めましょう。
④出血が止まったのを確認したら傷の大きさに合わせた被覆材で傷口を覆います
⑤ドレッシングテープを被覆材より大きく切り、中央の紙を剥がします。
⑥被覆材をドレッシングテープで覆い、残った紙を剥がします。
⑦最後にドレッシングテープのフィルムを剥ぐと薄いシートが被覆材をしっかり固定し、水に濡れても大丈夫になります。
被覆材を貼りなおす時にも①~⑦の工程を繰り返します。
市販の被覆材は粘着剤がついてるので、③の後は被覆材を張り付けるだけで大丈夫です。
商品によっては数日そのままでも大丈夫との記載があったりしますが、傷の状態を確認したり浸出液の状態を見るために最低でも1日1回は貼りなおすようにしてください。
自宅での湿潤療法の注意点(重要)
湿潤療法は自宅でも簡単にできる処置ですが、対応を誤ると傷の治りが遅くなるだけでなく感染症や化膿してしまい傷を悪化させることになりますので、注意が必要です。
傷の状態ですが、傷が深く開いていたり砂などの異物が傷の中に残っている状態の傷は医療機関での処置が必要になります。
また、動物に噛まれたり引っかかれたりした傷は病原菌の感染の可能性があり、場合によっては薬の投与をしなければならないので、自宅での処置は行わず必ず受診して傷を見てもらってください。
長期間貼ったままにすると浸出液が被覆材の中に溜まりすぎ皮膚がふやけて治りが遅くなることがあるので、毎日被覆材は取り換えるようにします。
浸出液が多い傷は1日2回貼り替えるようにしましょう。
傷口が腫れたり赤くなっている、熱感がある、痛みが続くなどの症状は感染の兆候の可能性があるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、3歳未満の子供やとびひが疑われるような傷は自宅での湿潤療法は行わず小児科を受診してください。
まとめ
傷口を乾かす治療法は傷の治りを遅くするので、治療する時は湿潤療法ができる被覆材を使用しましょう。
ドラッグストアで被覆材は購入することができますが、枚数が少なく汎用性が低いです。
少し初期コストはかかりますが、プラスモイストとドレッシングテープを購入しておけば傷のサイズに合わせて使うこともできますし、貼り替えも頻回に行うことができます。
深い傷や異物の残る傷、動物から受けた傷は自宅で治療をする前に医療機関で適切な処置をしてもらってください。
治療中に発赤・熱感・継続する痛みが出てきた場合は感染の可能性があるのですぐに医療機関を受診しましょう。
湿潤療法は痛みも少なく傷を早くキレイに治す治療法ですが、対処法を誤ると傷の治りが遅くなるだけでなく悪化させることもあるので、注意して行ってください。
傷の治りを比較したブログがありましたので外部リンクを貼っておきます。